世界遺産

世界遺産

World Heritage AUSTRALIA

1946年誕生したUNESCOという国際専門機関のひとつが、1972年の第17回UNESCO総会で出来上がった世界遺産条約に基づいてその登録を許可した遺産物件を世界遺産といいます。登録の対象になる物件は、貴重な価値があり後世にしっかりとその形を伝えていくべき物、さらには、研究上に最も価値がある物件です。

まずUNESCOですが正式名称が非常に長く、UNITED NATION EDUCATIONAL SCIENTIFIC and CULTURAL ORGANIZATIONとなり日本語に訳すと国際連合教育科学文化機関になります。文字通り教育と文化と科学の専門的分野において世界平和安全の維持や各国間の国際協力や友好関係の促進をする機関です。

ちなみに国際専門機関は、現在準機関2つを合わせて18機関存在します。よく最近のニュースで聞く名前はWHO
なんかがそうです。WORLD HEALTH ORGNIZATION(世界保健機構)、保険という専門的な分野を受け持つ機関です。

UNESCOは、1946年に設立され、きっかけになったのは、1942年の第二次世界大戦の最中の事です。ヨーロッパの方で戦争により学問が衰退していきます。それを強く案じ各国間で子供のために学問の分野で協力しようという会議(連合国文部大臣会議)が開かれた事によります。

2007年7月現在世界中(締結国182カ国)に世界遺産は、1000物件程度有ります。それらの物件は、自然遺産、文化遺産、複合遺産の三種類に分かれます。内訳は、文化遺産が圧倒的に多く、次いで自然遺産、残りが複合遺産として登録されています。

その内、日本は25物件有りオーストラリアにもは25物件登録されています。日本の物件は説明するまでも無いとは思いますが、自然遺産が5物件。古い順で①屋久島、②白神山地、③知床、④小笠原諸島、⑤奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島。文化遺産は残りの20物件。北から⑥法隆寺地域の仏教建造物、⑦姫路城、⑧古都京都の文化財、⑨白川郷、五箇山の合掌造りの集落、⑩原爆ドーム、⑪厳島神社、⑫古都奈良の文化財、⑬日光の社寺、⑭琉球王国のグスク及び関連遺産群、⑮紀伊山地の霊場と参詣道、⑯石見銀山遺跡とその文化的景観、⑰平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―、⑱富士山―信仰の対象と芸術の源泉、⑲富岡製糸場と絹産業遺産群、⑳明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業、㉑ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献、㉒「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群、㉓長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産、㉔百舌鳥・古市古墳群 -古代日本の墳墓群、㉕北海道・北東北の縄文遺跡群。となります。

登録範囲は物件により異なります。柱が登録されていたりする物件(オロモウツ正三位一体柱)なども有ります。中には、ダージリンヒマラヤ鉄道などの鉄道が登録されていたり、日本の紀伊山地の霊場と参詣道などは、道が登録の対象になっていたりと様々です。

世界遺産として登録されている物件の中には、負の遺産と呼ばれる物件も有ります。これは、人類の過ちを後世に伝えるべき遺産となりますが、日本の平和記念碑原爆ドームもそれに当たります。その他、有名な物ですとポーランドのアウシュビッツ強制収容所(ユダヤ人の大量虐殺)やセネガルのゴレ島(黒人の奴隷貿易基地)などがあります。

さらには、無形文化遺産というものも有りますが、特に条約にはありませんのでちょっと別物の形になります。現在無形文化遺産は世界各地に90物件の登録があり、その内日本は3つ登録の対象となっています。無形文化遺産とは文字通り形が無い世界遺産で民族の踊り、祭事、歌などが登録の対象になります。日本は、3大古典芸能の人形浄瑠璃、能楽、歌舞伎が登録の対象となっています。

世界遺産の登録にも手順があり、その国が登録を望んだ物件をまずは、保護しなければなりません。文化遺産を目指すなら、国宝や重要文化財などに指定。自然遺産を目指すなら国立公園に指定したりします。保護しきれなければ登録の対象にはなりません。

海外の方にも有名で、価値がある富士山は、いまだに世界遺産の登録を受けていませんが、以前から地域の運動が起こっておりいつかは富士山を世界遺産に指定しようといわれています。ただ、未だに登録の対象にならないのは、どうしても観光客が多すぎてゴミが多い、トイレの問題や車で5合目まで登れたりする事などいろいろな問題点があります。

このように保護しきれなければ世界遺産の登録の対象にはならないんです。ちなみに、最近では、富士山を世界文化遺産に登録しようという運動から後記の暫定リストに載りました。

保護すると今度は、分かりやすく暫定リストをその国々で作ります。暫定リストとは、次期世界遺産の候補が載るリストです。このリストに載らない限り世界遺産には登録されません。日本のリストには例えば、平泉の建造物と遺跡群、古都鎌倉の社寺、彦根城、富士山などが載っています。

その中で特に次の候補として1番世界遺産に近いのは2008年の彦根城が対象となります。このあたりは比較的高い確率で世界遺産に登録されていく事だと思います。

暫定リストをUNESCOセンターに提出し審査されます。それからUNESCOの本部のパリでビューロー会議が開かれ、最終的に世界遺産委員会にかけられ決定します。

非常に長い道のりを辿り世界遺産の登録を受けたその国々は、しっかりと後世にその素晴らしい価値を伝えるべく保護を強化して守っていきます。